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産業機械
大型プレスのTMDによる振幅抑制対策

大型プレスの振動で近隣建物が揺れるため工場ではプレスの回転数を落として運転していたが、製品の増産計画がありプレス能力をあげる必要があった。プレスの防振対策を行えば近隣に対する振動問題は改善するが、弾性支持によってプレス本体の振動は大きくなり、プレス本体の寿命や製品の仕上がりが危惧された。防振基礎の振幅抑制が求められた。

対策のポイント

低周波の振動対策としては、柔らかいばねで防振することになるが、防振基礎の振幅が大きくなることが問題となる。その場合、ばね定数を上げ、防振性能を落とす、又は防振基礎の質量を上げ大型にするといった対策が一般的であるが、何れも制約を受けやすく、根本的な解決に至らない。今回のTMDによる振動対策は、防振性能を損なわずに防振基礎の振幅を抑制した事例である。

原因

図1 大型プレスの外観
図1 大型プレスの外観
プレス工場の周辺には、住宅、工場等の建物が多く大型プレスの稼動時に周辺工場から苦情が寄せられていた。プレスの回転数(生産能力)を上げると、敷地境界の振動レベルは環境基準を超える値となり最大生産能力の1/4程度で使用していた。大型プレスは基礎に固定されており、稼働時の発生振動が地盤に伝搬して近隣建物に影響を及ぼしている。
高感度サーボ型振動計とFFTアナライザを使用して、敷地境界や振動障害が発生している周辺工場で振動加速度を測定した結果、機器の発生振動数と同周波数(4.0Hz〜6.0Hz)で卓越した成分が見られ、大型プレスの基礎や地盤では鉛直方向の振動が大きい事も確認した。
図1に大型プレスの外観を示す。
またプレスは製品の種類によって回転数を変更し対応しているが、周辺建物の水平方向の固有振動数に近似した回転数になる場合もある。
この時、鉛直方向の振動が敷地境界で基準値内にも係わらず、周辺建物は大きく揺れる共振現象を起こしていた。
さらに、生産能力を向上させた場合、使用頻度が最も多くなる回転数で敷地境界上での振動調査では、68dBの振動レベルであり環境基準を8dB超えた値である。
これらの結果を踏まえ、50dB程度まで低減する必要があると判断した。これはプレス1/4稼動で現状問題となっていない振動レベルである。
対象となるプレスの仕様は以下の通りである。
 (1)機械重量:120ton (2)プレスフォース:5,000KN (3)目標スピード:240〜360rpm

対策

大型プレスの防振対策は、プレスの回転数が低い領域で可変運転されるため、防振性能は4Hzで20dBの性能を有する低固有値な防振基礎が必要であり、プレス稼働時の基礎、本体の振動変位を制御することが課題である。基礎振動を抑制する為に、基礎重量を大きくすることが最も容易な方法ではあるが、設置スペースの関係もあり、出来るだけコンパクトな基礎が要求された。
防振基礎の基本仕様は、防振基礎重量:240ton、固有振動数:1.3Hz、減衰比:0.1とした。
図2に装置概念図を示す。

図2 装置概念図
図2 装置概念図

大型プレス稼働時の基礎予測振動は3mm前後であり、本体振動許容値の2mmを超えるため、防振基礎内部にTMD(制振装置)を組み込み防振基礎の振動変位をおさえた。TMDの固有振動数は、稼働状況の回転数に合わせる必要があるため、コイルスプリングと空気ばねのハイブリッドタイプとし、空気ばねの内圧を変化させ、TMDの固有値を稼働周波数に同調させた。
図3にTMDによる防振基礎の振動抑制効果を示す。

図3 基礎の振動(制振装置効果)
図3 基礎の振動(制振装置効果)

TMDの効果として、1.5mmから0.8mmに低減しており、予想を上回る効果を得た。また、民家側の敷地境界の振動値は、68dBから43dBに低減され、周辺建物への影響も皆無となった。

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