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建築設備
階下事務室に対する特高変圧器の固体音対策

精密機械工場の6階特高電気室に設置された4,500kVAモールド変圧器(質量13,300kg 台数2台)が、階下の事務室を加振して変圧器特有の騒音を発生させていた。建物などの固体中を伝播する振動による騒音発生(固体音)であるため、変圧器にスプリングを用いて弾性支持することで騒音の低減を図った。

対策のポイント

変圧器が原因で発生する固体音は純音性が高く、不快感が強い。一般に施設への電力供給開始後は通電を停止することが難しく、事後対策が困難となる場合が多い。特に静かさが求められる居住域の近くに設置する場合は事前の振動対策検討が重要である。

原因

図1 特高変圧器
図1 特高変圧器
図2 特高電気室床上 スペクトル
図2 特高電気室床上 スペクトル
本当該事務室では変圧器通電時にNC-60の騒音が発生しており、騒音環境としては許容し難い大きさであった。音圧のFFT分析による周波数スペクトルには120Hzの基本周波数成分とその整数倍の周波数成分が大きく現れていた。変圧器近傍の床振動にも同様な成分が確認され、変圧器の発生した振動が構 造床(S造 床厚150mm)に伝播し、階下で固体音による騒音が発生していることが判明した。
図1に特高変圧器を示す。
図2に設置床の振動加速度のスペクトルを示す。
変圧器自身の騒音、振動は鉄芯の磁歪現象によるものが主な原因である。変圧器の鉄心に使用するけい素鋼板は、磁界のなかに置かれると、わずかでは あるが寸法が変化する。これを磁歪現象という。こ寸法の変化量(磁歪量)は一般に磁界の強さに伴って増大する。電源周波数fに対してf×2の基本周波 数で磁歪量の変化が起き、振動として観測される。磁歪にはヒステリシス現象があるので磁歪振動は高調波成分を含むこととなり、図2のようにfHz×2を 基本とし、その整数倍の振動成分が強く現れることを特徴としている。またこの磁歪振動が本体タンク等に伝播し本体の騒音発生原因となっている。変圧器の動はその他に周波数fを基本周波数とする電磁振動もあるが、磁歪振動が特に大きく現れる。

対策

図3 対策前後の車輪下部図
図3 対策前後の車輪下部図
変圧器には標準装備として防振ゴム(固有振動数24.5Hz)が装着されていたが、変圧器の加振力が大きいため、防振ゴムでは振動絶縁量が不十分であると推定され、スプリング防振装置4台で変圧器を弾性支持し、防振系の固有振動数を4Hzとする対策を行なった。
防振装置の設計条件として、変圧器は車輪にて横引き可能で、引き込み時に防振装置に働く荷重変動(1台あたり32,600N)が発生しても変圧器が傾かないこと、防振装置上に変圧器を搭載した後も元の変圧器設置高さを変えないことなどが求められた。
防振装置に15mmの初期圧縮(荷重32,600Nによるばねたわみ)を与えて伸び上がりを拘束固定(耐震用ストッパー構造を利用)し、変圧器引き込み搭載後に拘束を解除する方法を採用した。図3に対策前後の車輪下部の状態を示す。
対策前の騒音NC-60はNC-40に改善した。電気室床上の120Hzの振動加速度レベルは対策前に87dBであったが、対策後は65dBに低減した。
図4に対策前後の音圧レベルを示す。
図5に対策前後のスペクトルを示す。
変圧器から伝播した固体音による騒音は純音性が高いため(特定の周波数成分が大きく現れる)、空調設備の吹き出し音など他の騒音に比べてとりわけ識別しやすい。住居、ホールなど静謐さを要求される環境では騒音障害につながることがあり、このような環境の近くに特高変圧器を設置しなければならない場合には事前の検討や対策が必要である。

図4 事務室の対策前後の音圧レベル
図4 事務室の対策前後の音圧レベル
図5 対策前後のスペクトル
図5 対策前後のスペクトル

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